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ピカソとジャコメッティ [美術史]

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フランソワーズ・ジロー「ピカソとの生活」(瀬木慎一訳)を参考に
ピカソとジャコメッティの関わり、絵画観の違いを考えてみたいと思う。

時代は1947年か8年頃、アネットと結婚する前後
細長い彫刻に到達した直後の時期である。

「パリにいた時、私たちはサンジェルマン・デプレにある『プラズリ・リップ』で
よく食事した。パブロがくつろぎたいと思う時には、私たちと一緒の席で話のできる
芸術家を、そこに連れてきていた。彫刻家のジャコメッテイは彼のお気に入りの一人
だった。

私たちが夕方、リップの店の前で彼に会うと、いつもかれは、土が身体に
付いているようであり、服と髪は、いっぱいに灰色の塵をかぶっていた。

『君はジャコメッティのアトリエを見るべきだ。』とパブロは、ある夕方、
私に言った。『二人で彼を訪問しよう。』リップから帰る途中、
彼はジャコメッティに、いつ行けば会えるかと尋ねた。

『午後の一時前に来てもらえれば、いつでもいる。』と彼は言った。
『それより早くは起きないから。』」


★この返事がジャコメッティらしくて面白い。夜寝ないで仕事して
午前中寝る、という彼にとって当たり前の生活パターンが、ジョークに
聞こえてしまう。

★ピカソはジャコメッティに敬意に近い好意を持っており、彼のアトリエに自分から
訪れている。ピカソは70代の押しも押されぬ巨匠、ジャコメッティ は40代半ばの
中堅で、独自の様式が世界で評判になり始めた時期である。

日本の70代の「巨匠」は30歳も若い作家に表敬訪問したりするだろうか…。
ピカソは「洗濯舟」の時代の自分を思い出していたのかもしれない。
フランソワーズ・ジローはこの時20代後半、ピカソと出会ったときは
まだ22歳の画学生だった。

(つづく)


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